日々の学び:佐々木正人『アフォーダンス入門』

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行為があるところには、かならず行為を取り囲むことがある。まわりがあって生きもののふるまいがある。

この本を知ったきっかけは東京大学サッカー部監督山口さんの本だった。もともと「アフォーダンス」自体は大学時代の一般教養で知っていたが、本を読むのは初めて。

アフォーダンスとは、

環境にあって行為が発見している意味

です。これだけだと何が何だかわからない。

テーブルは動物に「ものを乗せる」とか「上に乗る」とか「人を殴る」とかそういったアフォーダンスを持っている、ということである。「ものを乗せたい」からテーブルがあるわだけでなく、テーブルが動物に「ものを乗せる」という行為の意味を与えていると捉える。

トレーニングの革命になり得る?「制約主導型のアプローチ」とは | footballista

なぜ「アフォーダンス」の本をあえて読むことになったのか。それにはいくつか理由がある。

サッカーならびにスポーツのトレーニングでは「制約主導」、「自己組織化」という言葉が流行になりつつある。「制約主導」とはある行為を意図的に多発させるようにトレーニングに制約を設ける、といった考え方だ。

たとえば、

例えばフルアムでの指導経験があるデイビッド・ライト氏が作成したユース年代向けの練習メニューでは、「ボールを保有するチームの自陣で両チームがプレーする=守備側は敵陣でのプレッシングが義務づけられる」ので、背後にスペースが生じやすくなる。ボールを奪っても、必ず自陣からのビルドアップがルールとなっているので、選手は相手の守備が整った状態からパスを繋がなければならない。
(footballista)

といったものである。

実はこの考え方と、「自己組織化」はフランス・ボッシュの本に頻出する。「自己組織化」とはある行為の開始点と終着点を示せば、そこに向かって人は勝手に最適な運動をする、というものである。

例えばラグビーのパスの練習で、①アーリーキャッチをする②フォロースルーをとる、といったことを選手に示せば最適な運動を勝手に選手はする。そこにはキャッチの時の肘の角度は何度で、手首を返すタイミングはいつで、と解剖学的な指導をする必要はないし、その指導にはあまり意味がない。

この「自己組織化」の理解には「アフォーダンス」の理解が必要になる。ということで本書を読んだ。

ダーウィンの進化論は「変化(進化)には目的も方向もない」ということをその主張の最大の中心にしている。

つまり個々の動物はその環境にあるアフォーダンスによって行為を決める。その集合体としての組織もまた、アフォーダンスに影響された個々の動物が複雑に影響されあって構成されている。

もぐらは「トンネル」を掘ったわけでなく、柔らかい土を探して進んだ結果として「トンネル」ができた、というわけことになる。

結果から行為を説明することは、人類の歴史を「未開から文明の進歩である」と考えたり、~変化の起こっているところに、そこにあること以外のもの、「意図」や「目的」や「方向」のようなことをもちこむことである。

ぼくらが行為に観察できることは「はじまり」と「まわり」と「はじまりからの変化」しかない、ということである。

抽象的な話なので長くなってしったが、本書を読んで「複雑系」の理解は深まった。

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