Cultibase Radio、『問いかけの作法』・『問いのデザイン』の流れで拝読。結論から言うと、前述の二冊と比べると「ワークショップ」よりも「分析」領域での方法論が多く、アナリスト必読なのでは?とも少し思った。
働き方における考えだと『イシューからはじめよ』に代表されるような効率的な思考法が多く広まっている。それはどらかというと「ファクトリー型」の思考に近く、クリエイティブ・ボトムアップ的な発想とはまた違うような違和感があった。そこへの一つの答えを教えてもらえたような気がする。学術では「巨人の肩の上に立つ」という表現が割とよく出てくる。イノベーションの先行研究と実戦事例をわかりやすく説明してくれて非常に勉強になった。巨人の肩に立てたような気がちょっとする。
本書では、『イシューからはじめよ』でいうところの「イシュー」の設定ではなく、「How might we = わたしたちはどうすれば~することができるだろうか」という方向づけ、つまり「問いからはじめよ」のための手順と具体的な事例の紹介が続く。さながら、パターンプレーからプレー原則へと移行してよりダイナミックで複雑になったサッカーの話(戦術とかフォーメーションとか配置とか)に近いように感じた。
「職業アナリスト」という文脈としては、データを扱っているとどうしても「矛盾」と「客観性」の問題が生じる。データの中での「矛盾」と、データと実情の「矛盾」の二通りだ。本書では「矛盾」はむしろ歓迎されるもの、そこから読み解くもの、という解釈と方法論が説明されていてモヤモヤしていたものがスッキリした感じがあった。「客観性」もしかりで、確証バイアスが働く以上データは「客観的っぽい」ものの枠を出ない。どれだけそれらしいデータ分析でも結局のところ、その意味づけは人間によってされるものなのである。
データを読み解く6つの観点 – 「インサイド・アウト」と「アウトサイド・イン」と5つの視点 – 「量」「頻度」「推移」「関係」「矛盾」という方法論である。要約するのは骨が折れるので細かいところは自分で読んでください。
企業にとっての「リ・サーチ(Re-search)」の意味
視野を広げ、新たな可能性を発見するために繰り返される探索的活動。
やるしかないからやるしかない。