日々の学び:俵万智『青の国、うたの国』

熱燗を注げば素焼きのぐい呑みの土の時代が匂う如月

歌人のエッセイはなぜこうも瑞々しいのか。
帯同しているチームでの宮崎合宿を終え、宮崎空港内でお土産を物色していたところ、サイン入りの本書を見かけ、購入。拝読。

本書は宮崎で6年半暮らしていた俵さんの生活のエッセイだが、『愛の不時着』について語る回に一応スポーツというエンタメ業界の中で働く自分にとって、響く文があった。

心の中に、目の前の現実とは違う世界を持つことは、日常での気持ちの安定にもつながるような気がする。物語の大きな効用といってもいいだろう。それは、現実逃避というのとは、ちょっと違う。確かに、ある意味逃げこむ場所なのだが、帰ってきた時に瞳が潤っていれば、この世も少しは輝いて見えるはず。

自分にとってのラジオは「違う世界」であるし、ファンにとってのスポーツチームも「違う世界」であるのかもしれない。短歌=好きなものを仕事にする情熱と、それ自体を楽しむ気持ちを本書から感じ、自分のモチベーションも少し上がった。ような気がする。「帰った時に瞳が潤っていれば」、素敵な表現だ。

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