日々の学び:長沼伸一郎『現代経済学の直観的方法』


長谷川リョーさんのnoteを読んで拝読。経済学を学びたのなら他の本でも全然良いのだが、とにかく経済の体系的な説明がうまい。歴史、理論、比喩、具体例のバランスが絶妙で、本質的な理解を人に求めるときにこのような記述の仕方、表現の仕方があるのだと驚く。例えば流行りの仮想通貨に関しても、単にマイニングがどうとかそういった話を越えて、町内会の帳簿の話から金本位制度の話に帰着する、そんな本である。特に面白かった章から引用。

第6章 – 貨幣はなぜ増殖するのか

「又貸し」のメカニズムを持っているか否かにある。もしそのメカニズムを持っているなら、それは恣意的にいくらでも増やせる「虚」のマネーとなるが、それがない場合には「実」のマネーの範疇に留まることになる。
〜ただ、この「実と虚」のメカニズムのほうが、「マネーが紙か電子情報か」ということよりも話の規模としては一段大きい、ということだけは、頭の片隅においても良いのではないかと思われる。

第9章 – 資本主義の将来はどこへ向かうのか

「多様化」でグループから脱退して別行動をとり始めると、重要な初期段階で組織的な抵抗行動をとれず、「多様化を進めようとすると逆に一強による画一化を招く」という皮肉な結末をもたらしてしまうのである。

特に最後の第9章は天文学と経済学が交差する不思議な章であった。みなさんもぜひ、かなりおすすめです。

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